08.06.2006 弓と矢の素材について

ここでは、日本の伝統的な竹素材を用いた弓と矢について記載したい。 現在では木製の弓にグラス・カーボンシートを張った合成弓が多く使用されており、これらの弓は初心者のみならず、学生弓道等矢数を多くかける場合に適している。もちろん取り扱いが容易で、弓の形・強さに変化が無い事と、金額が安く、買い替えやすいことも利点となっている。

和弓は特別な器具が設けられておらず、弓の形は残しつつも、射法完成によって正射正射を目指す事に於いては、竹弓であっても合成弓であっても違いはない。 ただ単に的中する為だけであれば、竹弓・竹矢は合成弓・アルミ矢に比べ不利なはずである。しかし、これら竹素材を使った道具は全く違う目的で使用される。

通常、竹弓は温度・湿度・張り顔・引き成の変化に応じて取り扱わなければならない為に、常に弓の状態を把握しながら使用する。又、通常竹弓の形が収まるまでに約1・2年かかるが、弓が上手く育つかどうかは射手の手入れ・弓の張り方・射術に大きく左右される。正に道具との二人三脚となり、又それが弓と一体となった射の完成に近づく一つの方法ではないかと思う。この事が精神的奥行きを深めるとも言えるであろう。 最近不注意で弓を破損してしまったが、数年かけてようやく理想に近い形ができ、これからという時であった為に自分の分身がなくなったような感じで残念であった。一度竹弓を引きはじめると、合成弓は非常に味気無く、竹弓から離れられなくなってしまった。

竹弓と竹矢の相性は、もちろん言葉で言い表す事が出来ないが、離れの冴えと言う事に注目したい。冴えとは弦音・離れた後の弓の収まり、矢飛びに現れる。個人的ではあるが、竹弓と竹矢を使用した際の冴えは、良い離れが出たときだけ感じられる体感であって、言い換えればごまかしがききにくいとも言える。もちろんこれは個人の好みもあり、一般的に竹矢・竹弓がいいとは言えないが、カーボンやアルミの矢はどうも金属的で味にかける感がある。竹素材は金属と異なった微妙なしなりを生み出し、これが射手の体感に作用しているのではないかと思われる。最近試しに軽いカーボン矢(18g)を引く機会があった。矢飛びは鋭かったが(ほとんど見えなかった)、弓の振動が強かったのが印象的であった。武器として使用するならともかく、修行道としては味にかけた感じであった。この微妙な味わいとか、冴えとか言う部分では竹弓・竹矢に勝ものはないであろう。

弓道の修行においては、単に射術の完成だけではなく、精神的な奥行きを求める事も重要で、その為にあえてやや取り扱いの難しい天然素材の竹弓・竹矢を使用するのもよいと思う。弓道の修行の内容が個人・個人違って来ると思う。